能「望月」

2008年12月10日 国立能楽堂

 国立能楽堂25周年記念公演の一つを見てきた。
 演目は舞囃子「邯鄲」と能「望月」。
 「望月」は見ていて感動した舞台だった。
 「望月」の主題は敵討ち。本望を遂げる過程と結果が演じられる。過程の内に謡や舞が披露される。
どこで感動したかというと、かつての家来で宿の主であるシテが、余興に所望されて舞った獅子(ここでは獅子舞)の後、上着の中で獅子頭を脱ぎ捨て敵討ちの出で立ちで現れたところ。
 続いてかつての主の忘れ形見花若と共に酔いで気が緩んだ敵を討ち果たす。

 「望月」の獅子舞では獅子頭を付けるが、実は頭の上の被り物である。能を知らない人はとても獅子頭とは思わないだろう。かなり異様な出で立ちである。そこから鉢巻き姿の敵討ちの出で立ちへ変身するのである。変身後の出で立ちが際立って凛々しく見える。感動の一因はそこだと思う。

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