DAIsy 製作マニュアル(暫定公開版)
R-0.5
1997-may-19
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1997−oct−10
・目次
1.はじめに【必ずお読みください。】
2.DAIsyとは?
3.部品について
4.工具について
5.製作
5.1.製作時の注意
5.2.秋月DAI D/Aコンバーターキット
5.3.DSP I/F部(DAIsy Chip)
5.4.DSPポート接続ケーブル
5.5.受光モジュール
5.6.DAIsy Chipの実装とチェック
6.使い方
6.1.NeXT との接続方法
6.2.サウンドのサンプリング(コマンド)
6.3.MonsterScope
7.DAIsyの試作機について
8.謝辞
・図
図2ー1 DAIsyブロック図
図2ー2 DSP I/F部 回路図
図5ー1 秋月キット完成品
図5ー2 DSP I/F実体配線図(部品面視)
図5ー3 DSP I/F実体配線図(はんだ面視)
図5ー4 DSP I/F(部品面)
図5ー5 DSP I/F(はんだ面)
図5ー6 出力コネクタ外観
図5ー7 出力コネクタ配線
図5ー8 秋月キットとの結線
図5ー9 秋月キットとの結線(拡大)
図5ー10 DSPポート接続ケーブル
図5ー11 受光モジュール
図5ー12 受光モジュール
図5ー13 受光モジュール
図5ー14 受光モジュールと秋月キットとの接続
図5ー15 入力選択端子の配線
図6ー1 DAIsy Chipの実装
図7ー1 DAIsy試作機のDSP I/F部
1.はじめに【必ずお読みください。】
DAIsyを製作していただきありがとうございます。
NeXT Blackマシンはハイクオリティの音声出力を誇りますが、そのクオリティに見合うだけの音声入力方法が今までほとんどありませんでした。
DAIsyはあなたのNeXTにすばらしい耳を与えます。そして美しい歌声を奏でる事でしょう。
これで、あなたがいつまでもNeXT Blackマシンを可愛がってくれるのなら、作者もDAIsyもこれほど喜ばしい事はありません。
でも、その前にふたつお約束があります。
◆ハードウエア製作に関するお約束
DAIsyの製作、使用によって生じたいかなる不具合について、作者は責任を負いません。
ハードウェアの製作には、リスクが伴います。正しく製作し、正しく使用すればトラブルは無いようにしたつもりです。そしてテストも充分に行ったつもりです。ですが、予期しないトラブルに見舞われるかもしれません。発見出来なかったバグが悪さをするかもしれません。最悪の場合には、あなたの愛機が起動しなくなるかもしれません。
なにとぞ、ご了承ください。
◆著作権法にかかわるお約束
ふたつ目は、著作権にかかわる事です。
DAIsyを用いれば、オーディオCDのデータをロス無くハードディスクに記録することが出来ます。個人で楽しむのであれば、何を録音してもコピーしても問題はありません。しかし、そのデータを著作権者の許しなくして外部に配布することは出来ません。このような著作権法に触れるような行為は絶対に行わないでください。
ちなみに、オーディオCDのデータをダウンロードするだけなら、一部のSCSI CD-ROMドライブの持つコマンドで行う方が速く、確実です。また、複製を行ないたいならCD-Rを用いるべきでしょう。
DAIsyは、そのような目的では無く、MDやDATなどからサウンドの素材を収集するための道具として使っていただきたいと考えています。
NeXTには、十分な量のハードディスクの空きスペースと十分な量のメモリ(32MByte以上)を用意してください。
ハードディスクの消費の目安は、2chステレオ、16bit liner、サンプルレート44.1kHzの条件で、1Mbyteにつき約6秒です。1分でほぼ10MByte消費します。
ハードディスクは、サウンドデータだけで無く、スワップ等でも消費します。出来るかぎり大量の空き容量を確保してください。
2.DAIsyとは?
“DAIsy”は、CDプレーヤやDAT、MDデッキなどに装備されているディジタルオーディオインターフェース(DAI)の出力を黒NeXTのDSPポートにインターフェースするハードウェアです。
1994年に発表されました。
DAIsyの構造は、図2ー1のようになります。
DAIの復調部に秋月電子通商*1のDAI D/Aコンバーターキット*2を利用します。復調された信号を黒NeXTのDSPポートにインターフェースする回路(DSP I/F部)を別に製作します。この部分をワンチップのPLDに焼き込みました。これが“DAIsy Chip”です。
*1: 秋葉原に店舗を構え、部品、ジャンク、オリジナルキットで全国的に知られる。通信販売も行っている。雑誌「トランジスタ技術」(CQ出版社)の広告等を参照の事。WebのURLは、 http://www.net-in-akihabara.co.jp/AKIZUKI/
*2: 秋月電子通商のオリジナルキットの一つ。DAI復調、16bit 8倍オーバーサンプリングD/Aコンバーターを50mm×50mmの基板に凝縮。シュリンクDIPおよびフラットパッケージのICを使用し、その他部品も密集しているため、組み立てにはある程度のはんだ付けの技量が要求される。関連商品には「SCAMシリアルコピーマネージャキット」や「ディジタルオーディオ光送受モジュールセット」などがある。
図2ー1
DAIsyブロック図
図2ー2
DSP I/F部 回路図
3.部品について
●DAIsy本体
・DAIsy Chip セット
(内容)
DAIsy Chip
PLCCソケット
ユニバーサル基板
抵抗(プルアップ抵抗)
積層セラミックコンデンサ(バイパスコンデンサ)
・DAI D/Aコンバーターキット(秋月電子通商)
・D-sub 15pin コネクタ メス
・絶縁スペーサ(高さ10〜15mm程度) ×8個
・細い配線材(10色)
・電源(12V、300mA以上)ACアダプタ等またはバッテリ、電源スイッチ、コネクタ、その他関連部品
●NeXT DSP接続ケーブル
・D-sub 15pin コネクタ オス ×2個
・D-sub 15pin コネクタ用シェル ×2個
・多芯(5芯)ケーブル
(以下は必要なら追加してください)
・ディジタルオーディオ受光モジュール(秋月電子通商・他)
・金属ケース
・その他
「DAI D/Aコンバーターキット」は、秋葉原の秋月電子通商から購入出来ます。また、通信販売も行っていますので、「トランジスタ技術」誌などの広告を参照してください。また、「D-sub 15pin コネクタ」や「ディジタルオーディオ送受モジュールセット」なども扱っていますので、同時に注文しても良いでしょう。なお、「DAI D/Aコンバーターキット」には、RCAピンジャックやLEDなど、とりあえずの品物が付属しています。
ケースに入れずにバラックで組み立てる場合にも「絶縁スペーサ」で足を立てた方が無難です。直に置くと、金属製のゴミなどが基板に接触してショートして、最悪の場合破損する可能性があります。
「細い配線材」は、細目(外径0.8mm程度)で、必ず「耐熱線」を使用してください(作業能率が違います)。なるべくたくさんの色(10色)をそろえると配線間違いが少なくなります。パーツ屋などに各色2mセットで売っているものがあれば、それを利用すると良いでしょう。
「D-sub 15pinコネクタ オス」と「D-sub 15pin コネクタ用シェル」は、NeXTのDSPポートとの接続ケーブルの製作に使用します。
「4芯ケーブル」は、無ければフラットケーブルや、線を4本束ねて代用してもよいでしょう。
「電源」には、12Vで、300mA以上の出力の得られるACアダプタやバッテリなどを用意してください。さらに、DCジャックや、電池ボックス、コネクタ、電源スイッチなどが必要になりますので、必要に応じてご用意ください。
もし、お手持ちのオーディオ機器が、光ディジタル出力に対応しているのなら「ディジタルオーディオ受光モジュール」を秋月のキットと同時にお求めになるとよいでしょう。
本格的には、金属ケースに納めてあげましょう。秋月のキットの説明書にも、金属ケースに収納する事を勧めています。その際には、RCAコネクタや発光ダイオード、スイッチ類など、ケースに合ったものが必要になるでしょう。それらについては、適当にご用意ください。
4.工具について
必要な工具はそろっているでしょうか? 下記はその一例です。
・はんだゴテ(こて先の細いもの。温度制御品ならベスト、390℃くらい)
・はんだゴテ台(適当な大きさと重さのしっかりしたものを。コテ先を掃除するスポンジは少し湿らせて)
・ヤニ入りはんだ(電子工作用錫60%共晶はんだ)
・ニッパ(とにかく切れるもの、安物買いは銭を失う)
・ワイヤストリッパ(細線用、これも切れるものを。安物はダメ)
・ラジオペンチ
・ピンセット(1000円以上のものを使いたい)
・ソルダウイック(半田を吸い取るための銅の網線)
・ルーペ
・ドライバー + −
・精密ドライバーセット
・ミニ万力(プラスチックの机面に吸盤で張り付くやつなど。有るとコネクタの配線等に便利)
・熱収縮チューブ(配線の絶縁や保護に使用)
5.製作
5.1.製作時の注意
DAIsyに使用している半導体は、静電気には大変弱いです。むやみに足に触れたり、体に静電気が溜り易い服装や環境は避けてください。
特に、冬場のように空気が乾燥していて時期、毛糸のセータやカーペット敷きの部屋などは要注意です。部屋を加湿したり、木綿製の衣服を着たり(なるべく薄着で)、静電気を逃がすリストバンドで体をアースに落としたり(無ければ金属製の腕時計に導線をつないでもよい)など、静電気対策を十分に行ってください。
5.2.秋月DAI D/Aコンバーターキット
最初に秋月DAI D/Aコンバーターキット(以下「秋月キット」)を製作します。基本的に、付属の取り扱い説明書に従ってください。
製作に要する時間は4〜5時間が目安です。ですが、焦らずゆっくり、丁寧に組み立ててください。
電源とDAI信号を入力して、アナログ出力をアンプにつないで音が出れば、それで完成です。
図5ー1は完成写真です。
図5ー1
秋月キット完成写真
ここでは、注意点とちょっとしたコツについて説明します。
・背の低い部品から実装する
取説にも説明がありますが、2個のフラットパッケージのICからはんだ付けを始めてください。
・フラットパッケージICはんだ付けのコツ
恐れる事はありません。
はんだは、キットに付属の極細のものを使用します。
取説には、接着剤でICを仮止めするように書いてありますが、ICの足は絶対に接着しないでください。必ずICの底面の真ん中と基板とを必要最小限の接着剤または両面テープで仮止めしてください。接着剤には、粘性の高いものを使用するとよいでしょう(エポキシ、合成ゴム系、ゼリー状瞬間など)。両面テープは、厚み(薄すぎたり、厚すぎたりすると固定やはんだ付けに支障をきたす)に注意してください。
ICの足のはんだ付けは、パターンとICの足の両方に熱が伝わるようにコテ先を当てます。3〜4秒暖めてはんだの先をコテとパターンの接しているところに極細のはんだの先をちょっと触れます。さらに3〜4秒そのままにして、はんだが溶けてパターンと足の間に吸い込まれてうまく馴染んだらコテを離します。
はんだゴテの先は、水を含せて絞った、ぞうきんやスポンジで、毎回よく掃除してください。
はんだを付けすぎて隣の足とブリッジしてしまったら、その部分にソルダウイックを当てて、さらにその上からはんだゴテで暖めて、余分なはんだを吸い取ってください。ソルダウイックは、先端から使って行き、はんだを吸い取った部分はニッパで切り離して使用します。
保証はしませんが、1本の足に15秒コテを当てても壊れるものではありません。慌てずゆっくり作業してください。(その代わり冷却は十分に)。
・電解コンデンサが無い!!
電解コンデンサの取りつけは気を付けてください。部品の定数が幅を持って指定してあるところがありますが、うまく選ばないと定数が合わなくなる事があります。
なお、電解コンデンサの定数が違うくらいでは一応動作しますが、極性だけは絶対に間違えないでください。
・LPFの定数について
とりあえず、取説に記載の推奨定数、
C5=C6=0.0047μF
R1=R2=680Ω
で組み立てください。
5.3.DSP I/F部(DAIsy Chip)
作業時間の目安は、2〜3時間程度です。ゆっくり落ち着いてミスがないように組み立てましょう。
まず、ユニバーサル基板を真ん中の切れめから二つに切断します。カッターで両面から切れめを入れれば簡単に割れます。使わないもう片方の基板は、さらに細かく切断して受光モジュールまわりの工作に使用します。
配線は、実体配線図に従ってください。図5−2は基板のおもて(部品面)から見た配線で、図5−3ははんだ面から見た配線です。実際には、図5−4(部品面)図5−5(はんだ面)のようになります。
図5ー2
DSP I/F実体配線図(部品面視)
図5ー3
DSP I/F実体配線図(配線面視)
図5ー4
DSP I/F(部品面)
図5ー5
DSP I/F(はんだ面)
PLCCソケットを基板の真ん中あたりに取りつけます。ソケットには、向きがあります。部品面から見て、面取りされた角が左上になります。また、1番ピンの目印(矢印や切れ込みなど)が見つかるはずです。1番ピンが上になるように取りつけてください。それと、必ず全部のピンをはんだ付けしてください。
それから、コンデンサ(積層セラミック0.1μF)と抵抗(33kΩ)を取りつけます。
さらに、電源(赤)とグラウンド(黒)の配線をしてください。
そして、それぞれの信号線を配線します。
基板の配線が終ったら、DSP出力コネクタと出力イネーブルスイッチ、それと秋月キットとの接続を行います。
DSP出力コネクタは、D-sub 15pinのメス(図5−6)で、配線図の番号に従ってはんだ付けします(図5−7)。熱収縮チューブで保護するとよいでしょう。
図5ー6
出力コネクタ外観
図5ー7
出力コネクタ配線
秋月キットとの接続は、PD0052の該当番号ピンに直接つなぎます。図5−8のように秋月キットの基板のはんだ面に配線します。図5−9はその部分の拡大です。
図5ー8
秋月キットとの結線
図5ー9
秋月キットとの結線(拡大)
5.4.DSPポート接続ケーブル
DAIsyと黒NeXTのDSPポートを接続する為のケーブルを製作します。両端がD-sub15pin オス コネクタで、それぞれの1,2,12,14,15番ピン同士の5本を配線します(図5−10)。長さは、出来れば1m以内、長くても2mまで抑えてください。多芯シールド線を使用する場合は、シールドをコネクタの金属部分に接続するとよいでしょう。
図5ー10
DSPポート接続ケーブル
5.5.受光モジュール
配線は、受光モジュールの取説に従ってください。
切り離したもう片方の基板を図5−11、図5−12、図5−13のように小さく切って、その上に部品を実装するとよいでしょう。
受光モジュールからの信号は、秋月キットの入力2に接続します(図5−14)。受光モジュールの電源(VCC(+5V)、GND)は入力2の傍から供給されています。
入力2を使用する為には、入力切替端子(SW1)を+5Vに接続する必要があります。これは、基板の裏から部品の足の切れ端などで+5Vと接続するとよいでしょう(図5−15)。
図5ー11
受光モジュール(上面)
図5ー12
受光モジュール(底面)
図5ー13
受光モジュール(後面)
図5ー14
受光モジュールと秋月キットとの接続
図5ー15
入力選択端子の配線
5.6.DAIsy Chipの実装とチェック
1)チェックその1
一通り組立が済んだら、慌ててDAIsy Chipをソケットに押し込んだりせず、いったん休憩してください。
そのあと配線間違いやショートがないか、目視で十分に調べてください。
ポイントは、ICの向き、ダイオードの向き、電解コンデンサの極性、基板パターン同士のはんだのブリッジ、抵抗値、配線の誤接続など。特に、電源の逆接続は致命的ですので、充分に調べてください。
それから、DSP出力コネクタの配線を間違えると、NeXTに重大なダメージを与える事があります。テスタをお持ちなら、接続ケーブル共々、配線の導通およびショートのチェックを行ってください。
2)チェックその2
間違いがなければ、DAIsy Chipを取りつけないまま電源を投入します。DAIソースを入力し秋月キットから正しく音が出る事を確かめてください。音が出なかったり、音が歪んだりしたのなら、すぐに電源を切ってください。どこかショートしたりDSP I/Fと秋月キットとの接続の間違いなどの疑いがあります。
それから、秋月キット上の部品が異常な熱を持ったりしていないか手で触れたりして確認してください(やけどに注意!)。異常な熱を持っている時は、ただちに電源を切ってください。電源逆接続や部品配置間違い、ショートなどの疑いがあります。
3)DAIsy Chipの実装
問題がなければ、いったん電源を切って、DAIsy ChipをDSP I/Fのソケットに挿入します。この時、向きを間違えないように注意してください。ソケットとDAIsy Chipの、面取りされた角を合わせてください。また、ソケットとDAIsy Chipの1番ピン表示マークがそろっているか確認してください。
挿入は、DSP I/F基板を丈夫でしっかりした台の上に置き、DAIsy Chipをソケットに載せて、傾かないように注意しながら親指でしっかり押し込みます。スペーサ等で基板を浮かせている時は、そこに力が集中して基板を破損する事がありますので注意してください。
万が一間違えて挿入していたなら、ソケットからDAIsy Chipを取りはずして挿入し直してください。PLCC用の専用リムーバーをお持ちならそれを利用してください。お持ちで無い場合は、ソケットの対角の隙間に細い棒(細い精密ドライバなど)を差し込んで、テコの要領で両側から少しずつDAIsy Chipを浮かせてください。無理にコジるとソケットやDAIsy Chipを破損する事があります。
図6ー1
DAIsy Chipの実装
4)チェックその3
DAIsy Chipを実装したら、もう一度電源を入れます。再び秋月キットから正しく音が出る事を確かめてください。音が歪んだり聞こえない場合は、すぐに電源を切り、配線間違いやショート、DAIsy Chipの挿入向きなどを確認してください。
無事に音が出たのなら、おそらく大丈夫でしょう。
それから、DAIsy Chipおよび秋月キット上の部品が異常な熱を持ったりしていないか手で触れたりして確認してください(やけどに注意!)。異常な熱を持っている時は、ただちに電源を切ってください。電源逆接続や部品配置間違い、ショートなどが無いか十分にチェックしてください。
もし、オシロスコープなどが使えるのであれば、DSP I/Fへの入力信号やDSP出力コネクタへの出力信号波形をチェックしてみてください(信号波形は別紙参照)。
6.使い方
6.1.NeXT との接続方法
1.DAIsyとDSPポートは、両方の電源が切れた状態で、製作したDSP接続ケーブルでとの接続します。
2.DAIsyの電源を投入します。
3.NeXTの電源を投入します。
接続の外し方は、次の通りです。
1.NeXTの電源をOFFする処理を行います。
2.NeXTの電源がOFFしたなら、DAIsyの電源をOFFします。
3.DAIsyとDSPポートの接続を外します。
6.2.サウンドのサンプリング(コマンド)
サウンド関係のコマンドには、次のものがあります。
sndrecord サウンドを録音します。
sndplay サウンドデータを再生します。
sndinfo サウンドデータの情報を表示します。
sndcompress サウンドデータを圧縮、伸長します。
sndconvert サウンドデータの型式を変換します。
a)サウンドの録音(サンプリング)
DAIsyからサウンドを録音(サンプリング)するには、次のコマンドを使用します。
|
|localhost> sndrecord -d soundfilename.snd
|type carriage return to start recording
|
|type carriage return or cntl-C to stop recording
|^C1035744 bytes read
|localhost>
|
コマンドのオプション`-d'はDSPポートからの入力を指示します。この時のサンプリング条件は、16bit liner、2chステレオ、サンプルレート44.1kHzです。
DAIsyの出力イネーブルスイッチを「イネーブル」に切り替えて、音声を再生します。タイミングを見計らってリターンキーを押します。録音が開始されます。
終了する時は、Control-Cを入力します。サンプリングしたバイト数を表示して停止します。
サウンドの録音中に他のアプリケーションを実行するなど負荷をかけると、ノイズが混入したり、音飛びの原因になる事がありますので注意してください。
b)サウンドの再生
サウンドデータを再生するには、次のコマンドを使用します。
localhost> sndplay soundfilename.snd
サウンドデータのファイルネームに拡張子“.snd”を付けた場合には、WorkSpaceManagerからアイコンをダブルクリックしてSund.appから再生する事も出来ます。
c)サウンドの圧縮
サウンドデータを圧縮するには、次のコマンドを使用します。
localhost> sndcompress insoundfilename.snd outsoundfilename.snd
サウンドの圧縮は、かなりのパワーを要します。高速な他アーキテクチャマシンで行うと効率が良いようですが、for Intelではこのコマンドが正常に働きません。遅いのは我慢して Black NeXTで行う方が無難です。
これらのコマンドの詳細は、オンラインマニュアルを参照してください。
6.3.MonsterScope
NeXTSTEP3.2Jまでは、/NextDeveloper/Demosに“MonsterScope”といったデモアプリケーションが付属していました。これでマイク入力やDSPポートからの入力された信号の波形やスペクトルを表示することが出来ます。
DAIsyでこの“MonsterScope”を使用した場合、DSP A入力が左チャネル、DSP B入力が右チャネルに対応します。音楽の鑑賞と同時に波形を鑑賞して楽しむことが出来ます。
なお、録音とと同時には使用出来ませんのでご注意ください。
7.DAIsyの試作機について
1994年初頭、作者がA/Dコンバータのデータブックを眺めていた時、たまたまDSP56000との接続回路例が目にとまりました。もしやこの回路でNeXTでリアルサウンドサンプリグが可能では? とひらめくものがありました。しかし、このA/Dコンバータは、価格も高く、入手も困難なものでした。
ちょうどその頃、秋月電子通商からDAI D/Aコンバーターキットが発売されたと思います。早速入手して、回路を検討した結果、同じような信号が取り出せる事がわかりました。すぐにその接続回路例を参考に組み立てて、おそるおそるNeXTのDSPポートに入力してみました。するとなんと、デモアプリ“MonsterScope”で波形が表示されたのでした。
そのことをNeXus Netに報告したところ、ある人から、DSPポートからの録音コマンドを教えてもらいました。その時は、まともな録音は出来ませんでしたが、回路とタイミングの検討を重ねた結果、正常に録音することが出来るようになりました。これがDAIsyの試作機になりました。
この試作機では、DSP I/F部に汎用のC-MOS ICを数個使用しました。
図7ー1
DAIsy試作機のDSP I/F部
DSP I/F部の設計では、当初からPLD(Plogramable Logic Device)の開発環境のシミュレーション機能でタイミング等の検討を行っていました。しかし、当時は安価で入手容易な適当な規模のPLDの品種が無く、ワンチップ化は断念せざるを得ませんでした。
近年のPLDの普及により品種が増え、価格も下がり、最初の試作からほぼ3年を経て「DAIsy Chip」として配布出来るに至りました。
8.謝辞
鈴木 敦さん:録音のコマンドを教えていただきました。お陰様でDAIsyを作ることが出来ました。ありがとうございました。
花原良宏さん:“DAIsy”のネーミングをいただきました。ありがとうございました。
川崎真義さん:DAIsyが現在に蘇えったのは、あなたとの何気ない会話からでした。DAIsyがすばらしい作品の製作のお手伝いができるのならDAIsyも私も幸せです。
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R-0.5 1997-may-19
5.5.受光モジュールの文章と図の変更
1997−oct−10
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